ファンドレイザーのお仕事

ファンドレイジングについての知識と感情とあれこれ。

少しずつ少しずつ

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今月24日に行われる日本ファンドレイジング協会の選択研修に、講師として登壇することが決まりました。

 

ファンドレイジングを学び始めた頃、約2年前に受講した「寄付の「ホント」を寄付白書から学ぼう!」という研修です。

 

寄付の「ホント」を寄付白書から学ぼう!~寄付白書2017を読み解こう~ | イベント・研修・スクール | 日本ファンドレイジング協会


お声がけいただいた時はとても驚きましたが、2年前から同協会の研修に参加したり、ファンドレイジング・スクールで鍛えていただいたり、アメリカのファンドレイジング大会に参加させてもらったりした経験が、少しずつファンドレイザーとしての自分を成長させてくれたのかもと思い、今回はその恩返しのつもりでお引き受けすることにしました。

 

行きたい場所(目標)を設定し、バックキャスティングでグイグイに進んでいくのもいいけれど、目の前の課題やご縁を糧に少しずつ進んでいるうちに、いつのまにか今回のように素敵な場所に立てることもあるんだなー、と思いました。今回の研修で、私も誰かが前に進むきっかけになれますように。

 

 

去年4月、アメリカのニューオリンズで開催されたファンドレイジングカンファレンス(AFP ICON)に参加しました。あれからもう1年。時間が経つのはあっという間です。

今年のAFP ICONはテキサス州サンアントニオで開催されています。

AFP ICON 2019

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自分がアメリカに行くなんて。それも英語で行われるカンファレンスに参加するなんて、自分の人生に起こる事とは想像もしていませんでした。ファンドレイジングを学び、「もっと成長したい!」と思った時にAFPの存在を知り、そして「行きたい!」と思った時にクラウドファンディングが背中を押してくれました。

 

今年は知り合いの女の子がAFP ICONに参加しています。彼女もクラウドファンディングで渡米資金を集めました。もちろん私も寄付しました。クラウドファンディングは、お金持ちでなくても、誰かの挑戦を応援できるだけでなく、その挑戦によって得られる経験や知識、ストーリーを共有してもらえる素敵な仕組みだと思っています。

 

話は逸れますが、最近ネット上に「クラウドファンディングで副収入」とか「何もしなくてもクラウドファンディングで月10万円」のような怪しい広告を見かけるようになりました。きっと情報商材とかマルチとかそういったものなんでしょうが、クラウドファンディングの運営会社がこういう怪しいプロジェクトを選別・排除できるようでないと、クラウドファンディング全体のイメージが悪くなってしまうのではないかと心配です。

 

去年に引き続き、今年もクラウドファンディングに関するご相談をいただいているので、ファンドレイザーとしてしっかりお仕事させていただこうと思います。

 

そして数年後、今度はちゃんとお金を貯めて、再びAFP ICONに参加したいと思っています。

【報道発表】フィリピンに対する無償資金協力に関する書簡の交換 より

www.mofa.go.jp

魚を与えるより魚の釣り方を教える方がいい、なんていう話は国際協力でよく聞く。

今回のフィリピン・ミンダナオに対する日本の無償資金協力は、その魚の釣り方を教えるための資金提供だ。

 

支援の内訳は、農業分野の機材(灌漑用ポンプ,ハンドトラクター,精米機等)の整備や元兵士等約2,000人に対する職業訓練に2億円、上水分野の機材整備及び水道分野の職業訓練に3億円の計5億円。

 

ロジックモデルにすると、インプットは資金提供(5億円)。活動は機材の整備と職業訓練の実施。アウトプットは職業訓練の実施回数や受講者数。初期アウトカムは数万人が安全な水や食料を入手できるようになること。中期アウトカムは地域に雇用が生まれ経済が活性化すること。長期のアウトカムは地域の安定(犯罪や病気の減少など)となる。

 

アウトプットだけを見れば、「数千人に職業訓練するだけで5億円は高すぎないか?」なんて思う人もいるかもしれないけれど、その訓練の実施によって数万人の人が安全な水や食料を安定して得ることができるのであれば妥当だと思うかもしれない。そして長い目で見れば、雇用や経済活動が活性化し、地域の安全や健康に繋がる可能性だってある。そうなれば最初の5億円は、単に水や食料を配るより何百倍の効果を生むことになる。

 

ただし、これを絵に描いた餅にしないためには、正しい評価(指標の設定・データの収集・分析・報告と改善)が必要で、それができる人や組織を育てるのは、職業訓練よりも難しいはず。現地の人が自分たちで評価・改善していけるようになるためには、ムラノミライさんが提唱してるメタファシリテーションが大切なんだろうな。記事には載っていなかったので、今後どう事業の評価をする計画なのか興味がある。

 

余談ですが、貧困問題に取り組む某国際協力NPOのブログで、喉が渇いて雨水を集めてるストリートチルドレンの少女に対して「彼女に水を与えるのは簡単だけど、それは彼女のためにならない。彼女に本当に必要なのは教育だ」という主旨の記事を読んで、「確かに教育は必要かもしれないけど、まずは水あげればいいのに」と思ったことがありました。ロジックモデルやインパクト評価が課題を解決するために必要な視点だと理解した上で、NPOがアウトカムや社会的インパクトに偏重し「目の前の人が今困ってること」を軽視するようになりつつあるのだとしたら、それは怖いことだなと思いました。

時給1250円のボランティア

江戸川区では食の支援事業という名称で「子ども食堂」のほかに仕出し弁当を自宅まで届ける「KODOMO(こども)ごはん便」やボランティアやシルバー人材センターの会員が自宅に出向いて(買い物もして)家で食事を作ってくれる「できたて食べてね おうち食堂」なる事業をやっているそうです。

 

KODOMO(こども)ごはん便ではお弁当が1食100円、できたて食べてね おうち食堂では、食材費なども含めて無料!だそうです。どちらも年間48回まで利用できるので、週に1回程度は利用できる計算になります。

利用できるのは保護者の疾病や経済状況などの事情がある場合に限られますが、困った時にとても頼りになるサービスではないでしょうか。

ステキだなと思ったのは、KODOMO(こども)ごはん便の食事支援ボランティア募集で、時給1250円の報酬をちゃんと用意している点です。

https://www.city.edogawa.tokyo.jp/documents/7397/borann_1.pdf

少し前までは「NPOなんだから」とか「ボランティアなんだから」と、行政が無償または廉価でサービスの提供を求める場面が多かったように思いますが、こうして人件費をしっかり確保してNPOやボランティアと協働で事業に取り組む事例が増えてきているのは嬉しいですね。

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頑張ろうと思った出来事

先日、認定ファンドレイザーの資格証に必要なプロフィール写真の撮影に行ってきました。事前に何に使う写真なのかメールで説明を送っていたにもかかわらず、当日は「で、なんに使う写真ですか?」みたいな感じでちょっと不安に...。そして口頭で説明するも、ファンドレイザーどころかNPOという単語もご存知なく、全く伝わらない。結局「あぁ、PTA役員みたいなやつね」と違った解釈をされてしまいました。

 

アメリカでは人気職業ランキングにも入っているファンドレイザーですが、日本ではまだまだ。

 

頑張らねば!と思った出来事でした。

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認定ファンドレイザー合格しました!

先日、認定ファンドレイザー試験の合格通知が届きました。

去年は不合格だったので2度目のチャレンジでした。協力してくれた家族にも共にスクールで学んだ仲間にも感謝です。

これからも研鑽に励み、学びを社会に還元していけるように頑張りたいです。

私がファンドレイザーを目指すきっかけになった講座が2月にあるそうです。

ファンドレイジングに興味・関心のある方は、ぜひ受講してみてください。非営利セクターの方だけでなく、企業の社会貢献の部署の方、経営者の方にもきっと役にたつと思いますよ。

 

jfra.jp

ネガティブ・ケイパビリティ

ネガティブ・ケイパビリティ

容易に答えの出ない事態を受け入れる能力、性急に結論を出さずに宙ぶらりんな状態に耐える能力。

 

何か問題や課題を発見したら、原因を解明して素早く解決することが良い事だと、私たちは考えがちです。それを「ポジティブ・ケイパビリティ」と呼ぶそうです。一方で、解決しようとせず、もやもやした状態をそのまま受け入れるのが、ネガティブ・ケイパビリティ。他者への理解や共感にはネガティブ・ケイパビリティが重要と言われています。

 

たとえば不登校の子どもに対して、親が勝手に進路や将来を心配して学校に行かせようとしたり、いじめや教師に問題があるのではないかと犯人探しをしたり、自身の子育てに問題があったのではないかと自己嫌悪に陥ったりすることってありますよね。少なくとも過去の私がそうでした...(笑)。

 

でも、これは学校に行かない事を親が「問題」だと勝手に設定して「解決」しようとしてるだけなんですよね。

 

もしかしたら学校に行く事が子どもにとっては「問題」で、学校に行かない事が「解決策」だったかもしれません。学校に行かない事が良い事なのか悪い事なのか、本当の事は分からないんです。何が正解かは分からない。

で、我が家の場合、その分からない状態を私と夫が「ただ受け入れる」という事ができたときに、子どもは「親に理解してもらえた」と感じる事ができたようです。今思えば、子どもから「なんとかして欲しい」なんて言われた事は無かったんですよね。

 

個人的な話になりましたが、相手の課題を勝手に設定してお仕着せの支援をしてしまわないよう、NPOの事業やボランティアを行う上でもネガティブ・ケイパビリティを意識する事は大切なんじゃないかと思います。

 

ネガティブ・ケイパビリティ 答えの出ない事態に耐える力 (朝日選書)