ファンドレイザーのお仕事

ファンドレイジングについての知識と感情とあれこれ。

里親制度とハラスメントのリスクを考えた旅

おひさしぶりです。

1週間ほどフィリピン・セブ島に行っていました。

私は5年ほど目から現地NGOを通じてR君という男の子の就学支援(学費の援助)をしています。今回の旅はR君に会うことが目的のひとつでした。

R君は私が会いに行くと、恥ずかしそうな笑顔で迎えてくれる、少しシャイな真面目で頭の良い子です。時期は異なりますが年に1度、彼の家族(母親・姉弟)と食事に行き、買い物や遊びに連れて行くのが恒例になっています。

今年もいつものように楽しい時間を過ごし、NGOの方と食事をしてホテルに戻りました。そこでふと「R君はいつまで喜んで私に会ってくれるだろうか」と考えました。

彼は現在中学3年生。日本であれば思春期(反抗期)の年齢。親や姉弟と一緒に遊びに行ったりするのが恥ずかしかったり、休日も友人と過ごす方が楽しい年頃。セブの貧困家庭の子は休日も勉強と家のお手伝いに忙しく、遊びに連れて行ってもらったり、外食ができる機会はめったにないため、今のところは喜んでくれている様子です。でも今は楽しそうにしていても「里親さんにはお世話になってるんだから、我慢して今日は里親さんと過ごさなきゃ」と思う日がくるかもしれません。

今後は現地NGOと相談しながら、里親として子離れする心の準備を始めようと思いました。

里親という制度は奨学金だけの繋がりだけでなく、手紙や面会等のコミュニケーションを通じて「海外から自分を見守ってくれる人がいる」「子どもの成長が感じられて嬉しい」といった双方向の交流が魅力のひとつです。私のように里子に会いに行く里親さんであれば、普段ならできない体験(今回は映画を見に行きました)や、異文化を知る情操教育的なメリットもあります。しかし今回の渡比で気づいたのは、1対1の里親制度は、里親側のモラルによってはハラスメントの危険を含んだ関係性だということ。

考えすぎかもしれませんが、最初は純粋な気持ちで里親になったとしても、里子が年頃に成長した時、万が一里親が良からぬ考えを持って個人的に食事等に誘えば、里子は奨学金の継続のために誘いを断ることができないかもしれません。

里親と里子がSNSを通じてNGOの管理外で繋がったり、ネットでの送金が可能になった今、里親制度にも新たなリスクに備えた対策が必要なのかもしれません。